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猫の病気について(後編)|キャットフード安全

こんにちは!! 前回「猫の病気について(前編)に引き続き、猫の病気 について書きます。今回は「尿時結石」について取上げます。中高年の男性によくみられる病気ですが実はこれ、猫にも多い病気の一つなのです。是非お読みください。

 

尿路結石・・・注意すべき猫の病気の一つ

 

猫に多い病気の一つに「尿路結石」という病気があります。尿路結石(尿石症)とは、猫の腎臓から「尿管・膀胱・尿道」の中に結晶状の物や、結石ができる病気です。膀胱などに結石が出来ると内部を傷つけ、尿道に詰った場合は尿の排出が困難になります。ただし、この病気は ”砂粒の様な小さな結石” が出来る場合や、”大きな石ころ状の物” が出来たりと症状は様々です。尿に関する疾患は、猫にとって命に関る重大な病気です。

 

 

猫の尿は他の動物と比較して非常に濃く「腎臓に負担を掛けている」傾向があります。その尿に含まれる成分が原因の一つとされています。またメス猫よりも オス猫の方に 多い病気であり、それはオス猫の方が 尿道が細く複雑な形状をしている 為と考えられます。去勢後の若いオス猫や、肥満気味のオス猫は特に注意してください。因みにメス猫の場合は、オス猫と比較しても尿管の構造上重症化しないパターンがほとんどです。

 

猫が尿時結石になる原因について

 

猫の尿の中に「リン・マグネシウム・カルシウム」などのミネラル成分が増加、尿のPHバランス(尿が酸性かアルカリ性かの値)の乱れ、水分不足などが原因で結石が出来ます。それ以外では、ストレスが原因で誘発されるケースもあります。猫は自由奔放で気ままな性格の動物というイメージがありますが、実際は非常に繊細かつデリケートな生き物です。前回の「毛球症」の時も書きましたが、例えば・・・

 

  • 「寝床・食器・トイレ」が汚れている
  • 飼主さんに赤ちゃんが生まれた
  • 引っ越しなどによる生活環境の変化
  • 家に新しいペットが増えた・・・・

 

この様な事でも猫はストレスを感じます。また、ストレスは尿路結石だけでなく様々な「病気の要因」になります。

 

 

親猫が尿路結石の場合その子供は、他の子猫よりも尿路結石を起こす可能性が高い 傾向があります。親猫が解る場合は“病気の既往歴”を必ず確認しましょう。親猫が尿時結石だった場合は、早い段階から「尿路結石予防のキャットフード」を与えるなど何らかの対策が必要です。また、尿路結石を発症しやすい時期として避妊手術後の3~5歳位がピークと言われています。食事量も多く体内も活発な年齢ですが、餌の与え過ぎや偏った食事は厳禁です!!

 

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猫の尿路結石の症状

 

尿路結石の症状は以下の通りです

 

  1. トイレに行く回数が増える(猫の1日の平均回数は2回と言われています 5~6回とトイレに行く回数が増えた場合は注意!)
  2. トイレの際に「ニャ」、「ギャッ」などの変な鳴き声を出す、尿の量が減る、オシッコの時間が長い(いつもより長い場合は尿がきちんと出ているか確認)
  3. 尿が溜ってお腹が大きくなる、尿に血が混ざる(血尿)、トイレ以外の場所で粗相する、元気がなくなり食欲が落ちる、吐き気・・・などの症状がみられます。

 

 

猫のトイレには要注意!! 異変を感じたら直ぐ病院に

 

何かしら異変を感じた場合は、念入りに「猫のトイレ」をチェックしてください。尿と一緒に小さな結石が出て来て、猫砂に混ざっている亊があります。

 

 

尿道を結石の様な硬いもので刺激しているので、膀胱炎になる猫もいますし膀胱がパンパンになると 急性腎不全になる危険性もあります。何にせよ重症化する前に発見する事が重要です!猫は2日以上尿を排出できないと尿毒症になり一刻を争う状況になります。愛猫に異変を感じた場合は直ぐに病院へ連れて行ってください。

 

 

尿路結石になった場合の治療法

 

尿路結石は病院での治療が必要です。 病院に連れて行く際は、猫がした尿部分の「猫砂やペットシート」を持参してください。「血尿が出ていないか」「結石が混ざっていないか」を確認するのに有効で、検査しなくても尿路結石だと獣医さんが判断出来るからです。 治療法としては結石や結晶が小さく症状が軽い場合は、体内で結石を溶かす薬を使用します。結石が大きくなり重症な場合は、手術で取り除く事もあります。手術となると猫の体に大きな負担をかける事になりますので、そうならない為にも早期発見が重要です。

 

 

結石にも様々な種類があり、尿を酸性にする食事で溶ける結石もあります。このような場合は食事療法で経過を見ます。大体、1か月〜2か月ほどで症状が改善されるそうです。この様な結石を「ストルバイト」と呼びます。また、結石が尿道に詰った場合は、尿道口からカテーテルを入れ尿道を洗浄し結石を流し出します。オス猫でこの様な症状を繰り返す場合は、尿道を短くする整形手術を行う事もあります。

 

 

尿路結石で最も発症率の高いのが、先ほど食事療法で紹介した ”ストルバイトという結石です。ストルバイトとは「リン酸マグネシウムアンモニウム」とも呼ばれ、このストルバイトが出来る原因は キャットフードやオヤツの与え過ぎ よるものです。「リン・マグネシウム・カルシウム」の過剰摂取はこのストルバイトを形成する栄養素となり、それが積み重なる事で発症します。

 

 

発症率の高い症状・・・ストルバイトとシュウ酸カルシウム

 

2番目に多い尿路結石は、シュウ酸カルシウムです。シュウ酸カルシウムの尿路結石は1980年代頃から広まり、今ではストルバイトと比べても、約半分の割合となっています。注意すべきは食事療法では改善されないという点です。ストルバイト結石よりも固いために、一度体内に出来上がると自然に溶かす事は困難で、最終的に手術で取り除く亊になります。

 

 

他には非常に珍しいケースとして、尿酸塩でも結石が形成されます。発症率は全体の5%程ですが、この尿酸塩は人間でいう痛風を引き起こすプリン体と同じ成分です。

 

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尿路結石の予防方は食事管理と定期的な運動が大切です

 

最後に猫の尿路結石の予防について。食事面ではミネラルバランスが良い食べ物を与え、尿のPH値を上手くコントロールする必要があります。最近では、「尿路結石予防専用のキャットフード」がありますので、その様な疾病対策を施したキャットフードを与えると良いでしょう。もともと猫は水をあまり飲まない動物なのですが、水分不足は尿時結石の原因の一つです。出来るだけ水分を摂取させる様にしてください。例えば・・・・

 

 

  • ドライフードと兼用して “水分の多いウエットフード” を与えてみる
  • スープ状のオヤツを与える・水の設置場所を増やす
  • 水にカツオ節を浮かべて食べさせてみる

 

・・・・などなど、色々と工夫してみましょう!

 

猫は用意してある水が不衛生と判断した場合は、口を付けようとしません。いつも新鮮な水 に入れ替える様にしてください。 次に大切なのは運動です。肥満体質の猫は、尿路結石になりやすい傾向があります。適度な運動をさせる様にしてください。肥満は健康状態を著しく悪化させ、他の病気の原因にもなります。定期的に身体を動かす事は健康維持にも大切です。

 

 

残念ながら、尿時結石は再発する可能性の高い病気です。予防法をしっかり実行し、再発防止に努めましょう。また獣医師さんからも色々とアドバイスがあります。尿のPH値を酸性に近ずける療養食やサプリメント、尿量を増やす薬などが有効と言われています。

 

 

動物は人間と違い苦しくても喋って伝える事が出来ません。元気がなくなりグッタリとしている状態の時は、かなり我慢をしていると考えるべきです。飼い主さんが「猫の病気」に対する正しい知識を持ち、飼い猫の状態を細かく観察する事が大切です。「早期発見・早期治療」 を心掛けてください。

 

 

猫田先生
尿路結石は ”猫に多い病気” の一つ。飼主さんは普段からの「注意と予防」が必要です!
タマちゃん
メス猫よりも、オス猫に多い病気ニャんだね
猫田先生
ミネラル成分の取り過ぎ、水分不足は要因の一つです。飼主さんは ”バランスの良い食事” を与える様に心掛けてくださいね
タマちゃん
遺伝的な要因も大きいみたいだね。親猫がわかる場合は病気の既往歴も調べておいて欲しいニャ

 


 

 

あなたの猫ちゃん大丈夫? 猫に多い病気をまとめてみました

 

ここからは、これまで書いてきた「毛球症」「尿路結石」も含めて猫に多い病気をまとめました。どんなに健康管理をしても、飼い猫が病気になる事はあります。猫に多い病気の8つの症例 を以下ご紹介します。参考にして頂ければ幸いです。

 

猫風邪・毛球症・胃腸炎・癌について

 

猫風邪

 

猫も「風邪をひきやすい生き物」です。クシャミをしたり鼻水を出している時は要注意です。風邪も症状は様々で、主に「クラミジア」「カリシウィルス」「ヘルペスウィルス」の三種類が原因と考えられています。

 

 

飛沫感染する病気なので、放し飼いの猫は要注意です。特に子猫や老猫は成猫と比べて体力が弱い分に、すぐに重篤な衰弱状態になるケースがあります。ただのクシャミと侮らず、病院に連れて行ってください。

 

 

予防方法としては混合ワクチンの接種があります。7種の混合ワクチンでも5000円~8000円ほどで受けられます。母乳を飲んで育った子猫は生後8週間頃から、そうでない子猫は生後4週間頃から受けられます。子猫の頃から定期的に“ワクチンの接種”を行っていれば、もし感染しても軽症で済む事が多いので是非接種させましょう。

 

 

毛球症(もうきゅうしょう)

 

猫の可愛いグルーミング(毛繕い)、いつまでも見ていられますね。でも要注意です・・・・

 

食欲がない・中々毛玉が吐き出せない・便秘気味

 

この様な症状が出た場合は「毛球症」かも知れません。健康な猫は毛繕いをしても口から吐き出すか、便と一緒に出てくるので問題ありません。しかし、 環境の変化によるストレスが原因で上手く体内で処理できない場合や、3月頃からの換毛期間中に猫が毛を飲み込み過ぎると毛球症を起こす事があります。

 

上に挙げた症状が出た場合は病院に連れて行ってください。重篤化すると腸閉塞になったり外科手術が必要になるケースもあります。症状が軽い場合は、毛球除去剤が取り除く亊が出来ます。また日頃からのブラッシングも予防につながります。

 

頭から徐々に体に向かう様に、ゆっくりとブラッシングしてあげると猫も喜びます。愛猫とのコミュニケーションにもなりますので、是非!!

 

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胃腸炎

 

猫が急に嘔吐しはじめたり、脱水症状下痢の症状がでた場合は場合は胃腸炎の可能性が高いです。脱水症状の見分け方は、先ず肉球の色や鼻の色を確認しましょう。他には猫の歯茎が乾燥していないかをチェックして、首や背中の皮を軽くつまんで引き上げてみましょう。手を放しても、なかなか元に戻らない時は”脱水症状”の可能性があります。ただし急に大量の水を飲ませると、ショック状態を引き起こす事があります。水で薄めたポカリスウェットなどを応急処置として与えましょう。因みに・・・・

 

 

胃腸炎には慢性胃腸炎急性胃腸炎があります

 

 

慢性胃腸炎の場合・・・軽い下痢や嘔吐が続き、毛のつやが悪くなります

急性胃腸炎の場合・・・激しい下痢や嘔吐、嘔吐物に血が混じるのが特徴です

 

 

放置しておくと命に関わる危険な症状です。応急処置で治まる事もありますが、症状が酷い場合は直ぐに病院に連れて行きましょう。「寄生虫・誤飲誤食・細菌・ウィルス・薬剤の副作用」・・・原因は様々ですが、生活環境を清潔に保つ、混合ワクチンの接種など、出来る限り原因を取り除いてあげる事が重要です。

 

癌(がん)

 

猫に多い癌は主に「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」「リンパ腫」の二種類です。扁平上皮癌は紫外線やタバコの煙が原因で発症するケースが多いです。特に色の白い猫や猫エイズによって”免疫力が低下”している場合、発症しやすい病気です。症状としては「目・口・耳」等に炎症やただれ、しこりが出来ます。エサや水を飲みこみにくい様子を見せたら要注意です。予防は難しいですが早期発見が何より重要です。日ごろから注意深く観察してあげてください。

 

リンパ腫とは全身にある リンパ組織がガン化”した状態で、リンパ肉腫とも呼ばれます。

 

 

猫白血病ウィルス、猫エイズウィルスが主な原因で、こちらもタバコの煙が原因で発症する時もあります。ただしウィルス感染が主な原因になので、混合ワクチンの接種が予防のカギとなります。

 

 

猫の結膜炎・角膜炎・口内炎・糖尿病について

 

結膜炎

 

目をかゆそうにしている、涙が多くなる、眼球が少し腫れている・・・

 

特に、眼球が腫れて少しせり出している場合は重症の可能性もあり要注意です。結膜とは簡単に言うと“白目”の事です。しかし猫の黒目は大きい事もあり、普通の状態では見えません。結膜炎かな?と思ったら、アカンベェのように、少し開いて白目の充血がないか確認しましょう。

 

結膜炎を引き起こす要因として・・・・

 

異物が入る・猫風邪の感染症・他の病気の合併症

 

・・・などが、原因として考えられています。症状が片目の場合は異物の侵入、両目の場合は感染症を疑いがあります。異物はゴミ、シャンプー、粉塵などが考えられます。また、感染症は混合ワクチンの接種で予防が可能です。室内を清潔に保つなど出来るだけ、予防に努めましょう。

 

角膜炎

 

結膜炎と同じく目の病気です。症状は似ていますが結膜炎の場合は激しい痛みを伴います。また、角膜(目の表面)が白くにごる事もあります。グルーミングがいつもより長い、目をこすっている等・・・比較的わかりやすい症状ですので、気付きやすいと思います。角膜炎は大きく分けて

 

潰瘍性角膜炎非潰瘍性角膜炎

 

の二種類があります。潰瘍性角膜炎は主に外傷が原因で引き起こされます。「目をこする、砂ぼこり・毛が入る、ケンカで角膜が傷つく」・・・・等により炎症を起こします。非潰瘍性角膜炎は主にアレルギーウィルスが原因の病気です。結膜炎と合併して発症する事もあり、予防方法も「結膜炎と同じ」予防方で大丈夫です。

 

 

軽症であれば点眼での治療が主体になりますが、重症化すると失明してしまうケースもある大変な病気です。結膜炎と共に日頃からの予防が大切です。

 

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口内炎

 

口内炎と聞くと大した事がないように思えますが、猫にとっては重篤な症状になると死に至る事もある重大な病気です。たかが口内炎と思わずしっかりとケアしてあげましょう。

 

 

初期の症状は、口臭が強くなり口内が赤く腫れてきます。しかし、この段階で気づくのは少し難しいようです。症状が悪化すると、さらに「口臭が強くなる・涎に血が混じる・口の痛みで顔を引っかく」等の症状がでます。原因としては、口内の傷で細菌が繁殖する、ウィルスの感染免疫力の低下が挙げられます。

 

 

対策としては動物病院では口内洗浄をしてくれますので、症状が出る前に連れて行きましょう。因みに、餌はウェットフードよりもドライフードの方が歯石や歯垢が溜りずらいそうです。 

 

糖尿病

 

糖尿病は一度かかってしまうと、本当に治りにくい病気です。猫の糖尿病は「オス猫肥満気味の猫」が掛かりやすい病気です。水を飲む量がいつもより増えたり、餌を食べているのに体重が落ち始めたら危険です。主な原因は、「肥満・ストレス・すい臓の病気・薬の副作用・運動不足」などが挙げられます。

 

 

症状が進むと合併症を引き起こし、体の一部が麻痺してしまったり命に関わる事もあります。食事療法やインスリンの投与で症状を改善する事も出来ますが、本当に猫も飼い主も大変な思いをしてしまいます。特に9歳を超えると掛りやすくなるので、常日頃からの「食事・運動不足・肥満」に気を付けましょう。予防と早期発見が大切です。怪しいと感じた時は直ぐに動物病院に連れていきましょう。

 

愛猫との幸福な生活にも意外に落し穴があるものです

 

飼い猫に長生きしてもらう為には、飼主さんが少しでも“猫の病気”について「理解しておく」事が大切です。日頃からチェックを怠らないようにしましょう。「キャットフード安全」では、これからも愛猫家の方のお役に立つ情報を発信して行ける様に努力します!!

 

 

 

猫田先生
猫も人間も病気に関しては普段からの健康管理予防が大切です。予防接種なども出来るだけ受けさせて下さい
タマちゃん
意外に人間と共通する病気が多いんだね。
猫田先生
そうだね。ただ、人間だと軽症で済む病気も、猫ちゃんの場合だと重症化するケースも少なくないので注意が必要です
タマちゃん
猫って ”繊細でストレスを感じやすい 動物”だという事も覚えておいて欲しいニャ
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