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猫の感染症 そして新型コロナウイルス

こんにちは!!もう今年に入って「コロナ一色」の毎日ですが、この感染症・・・決して人間だけの問題ではありません。大切な家族でもある「猫にも感染症は存在」します。そこで今回は「猫と感染症」について取上げます。猫に多い感染症とその対策、そして例の「新型コロナと猫」についても書いてます。

 

猫の感染症について

 

昨今の「コロナウイルス」の影響で多くの外食産業や観光産業などが大ダメージを受け、私達の生活にも影響が出始めています。さらに香港やベルギーでは“飼い猫にも新型コロナウイルスが感染する” とのニュースを目にする様になり、不安をつのる情報も増えています。

 

そもそも、ここまで「感染症」に敏感になったり対策を講じるなどというのは過去にも例がありません。まさに未曾有の事態です。それでは、私達にとっての大切な家族である猫にはどの様な感染症があり、またどの様な影響や対策があるのでしょうか。

 

 

実は、私たちに身近な存在である猫にも感染症は多く存在しています。代表的なものとして以下の七つの感染症が挙げられます。

 

●FHV-1感染症

FCV感染症

猫汎白血球減少症

猫白血病ウイルス感染症

猫免疫不全ウイルス感染症

猫伝染性腹膜炎

FHV-1感染症

 

・・・・・以下順番に説明してゆきます。

 

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猫田先生
今、世間ではコロナで大騒ぎになっていますけど、猫にも感染症は存在します
タマちゃん
え、そうニャンだ!? ひょっとしてコロナとかもあるのかニャ??
猫田先生
人間がかかるコロナとは少し様相が異なるけど、咳が出る事もあるし、決して軽く見る事は出来ないんだよね・・・
タマちゃん
そんな・・・・何か他にもこわそうな病気がいっぱいあるニャ・・・・(泣)

 

 

猫とFHV-1感染症

 

・・・・これは別名「猫ウイルス性鼻気管炎」とも言われ、αヘルペスウイルスに属するDNAウイルスになります。感染経路は “鼻汁や眼脂等の分泌物に含まれる大量のウイルス” を直接、あるいは空気感染や飛沫感染を介して感染します。症状として初期の段階では「クシャミ食欲不振発熱結膜炎」など、上部呼吸器症状に出る事が多い病気です。

 

 

免疫のない猫が感染すると、2~6日の潜伏期間を経て症状が現れます。比較的軽度な症状で済む猫もいますが、重篤化すると呼吸困難や発咳が起こり死に至る場合もあります。この時動物病院で適切な治療を施せば多くの場合は症状が改善され、健康体に戻ります。しかし、ウイルス自体は三叉神経(顔面の知覚神経の一つ)などに潜伏します。このウィルスは、ストレスなどで体内の免疫が弱ってきた頃に再び症状が現れるので要注意です。

 

また感染した猫がウイルスを排泄する期間は約1〜2週間ほどと言われており、基本的に潜伏期間中はウイルスの排泄はされません。

 

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猫とFCV感染症

 

・・・・別名「猫カリシウイルス」とも言われるこの病気は、RNAウイルスであるカリシウイルス属のウイルスが原因で起きる病気です。感染経路は主にヘルペスウイルスと同じですが、違いは ”長期間ウイルスを排泄する” ところです。回復した猫でも30日間以上ウイルスを排出し続け、特に冬場などの寒い時期はウィルスも繁殖しやすいので要注意です。

 

 

症状としては「食欲不振気力や体力の低下流涎クシャミ鼻汁流涙」・・・などFHV-1感染症と類似した症状がみられます。ヘルペスウイルスと違うところは「口腔内に水疱を伴う潰瘍を引き起こす」点です。注意すべきは、このFCV感染症が原因で流涎が起り口の中がただれ、飼い猫が食欲不振になる事です。なかには病原性が強く、全身症状を引き起こす強毒全身性猫カリシウイルスと呼ばれるものがあり、高い致死率を示す事もあります。

 

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猫汎白血球減少症

 

・・・・この感染症は、DNAウイルスのパルボウイルスが原因で起きる病気です。感染経路としては接触感染が主な原因で、ウイルスを保有している猫の糞便から伝染する事が多く、特に子猫に対し集団感染するケースが多い病気です。

 

 

やっかいな事に、なかなか消毒しずらいウイルスです。人間が何かのきっかけで家の中に持ち込み(靴の裏にウイルスが付着し家に持ち帰ってしまう)そのウイルスをあやまって家猫が吸引するだけで、感染する事もあります。上記してある二つの感染症との違いは消化器症状が多くみられる点です。

 

代表的なものとして「下痢血便嘔吐」の症状がみられます。さらには「汎白血球」と言われる様に白血球の数を減らす事によって、消化器症状以外にも様々な症状を引き起します。特に子猫が重症化しやすい病気であり、また致死率が高いのも子猫です。それ以外でも妊娠中のメス猫が感染した場合は流産や死産を引き起し、生まれてきた猫にも脳の障害がみられるなど様々な問題を引き起します。

 

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猫田先生
先ずは、代表的なものとして3つ・・・FHV-1感染症FCV感染症猫汎白血球減少症を取り上げています。感染経路や症状などはそれぞれ違いますが、どれも油断出来ない病気です 
タマちゃん
あわわわ・・・ 高い致死率なんて、先生怖すぎるー!!!
猫田先生
三つとも違う病気ですが子猫が掛りやすかったり、体力が落ちてきた時に発症する傾向があります。ただ、どの感染症にも対策はあるんだよ。
タマちゃん
・・・ほんとかニャー・・・・

 

 

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

 

・・・・RNAウイルスのレトロウイルス科による感染症です。感染経路は「感染猫の鼻汁・唾液との長時間の接触や経胎盤・経乳汁・性交」・・・により感染します。感染猫との激しい喧嘩や毛づくろい、また感染猫の子供などは感染するリスクが非常に高いで病気です。

 

基本的に子猫の頃は体力が弱いせいか感染しやすく、その後は成長してゆくに連れ感染しにくくなります。この感染症の恐ろしいところは治療法がないところです。最初に口腔咽頭で増殖した後に骨髄細胞に感染、そして自分の遺伝子の情報を無理やり細胞内のDNAに組み込む事により感染を成立させていきます。

 

引き起こされる病気として「リンパ腫免疫介在性溶血性貧血血小板減少症」・・・・さらに免疫不全をもたらし他の感染症にも掛りやすくなります。

 

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猫免疫不全ウイルス(FIV)

 

・・・・こちらもレトロウイルス科のウイルスによる感染症です。感染経路は主に「ケンカによる咬傷性交経乳汁」などの垂直感染が多いです。日本における感染率の調査によれば、最低でも週に一回屋外に行く猫・・・1・770例の内、23%に当る410匹がFIV抗体陽性になったと言われるデータがあります。成猫でも十分感染するリスクがあり、残念な事にこの感染症も治療法はありません

 

病態としては五段階のステージがあり、初期には発熱やリンパ節の腫大。中期には「慢性小腸性下痢・非再生性貧血・難治性の口内炎・糸球体腎症」・・・・などの全身症状が現れます。ただ、感染している猫でも一生発症しないケースもあると言われています。

 

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猫伝染性腹膜炎(FIP)

 

・・・・これは「猫のコロナウイルス」が原因で起る感染症です。基本的には”猫コロナウイルスの突然変異”したものが症状になって現れるといわれます。感染経路は糞尿や唾液および鼻分泌物から経口感染し、体内に入って行くと考えられます。突然変異をしない猫コロナウイルスは主に腸炎がみられますが、こちらは下痢などの症状で治まります。

 

 

他には「食欲不振嘔吐下痢黄疸」さらには腹水や胸水がたまり呼吸困難などの症状が現れます。また、肉芽腫性病変が主要臓器に発生するドライタイプなどは重篤な症状を引き起します。残念ながらこの感染症も今のところ治療方法がありません。その為に発症してしまうと一気に進行し、最終的に死亡する病気です。

 

 

日本国内では約20%の猫がこのウイルスを保有していると考えられ、特に集団飼育下の場合その感染率はさらに高くなると言われています。発症の条件として、猫コロナウイルスを保有している猫に過剰なストレスがかかると、ウイルスの変異がおこりFIPとして発症すると言われています。

 

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猫田先生
猫に多い感染症を七つ取り上げてみました。これが全てではありませんが、飼主さん達には最低限知っておいて欲しい病気です。
タマちゃん
・・・・こんないっぱいあるニャンて・・・治らない感染症もあるんだね(号泣)
猫田先生
確かに怖い病気もあるけど予防方もあるし、しっかり健康管理していれば感染するリスクも減らせます。決して悲観ばかりする必要はないんだよ!!
タマちゃん
そうニャンだね!! ここからはその「予防対策」が書いてあるから飼主さんには必読だね

 

 

 

大切な家族を守るには・・・猫の感染症の予防

 

それでは、この感染症に対してどの様な予防方法があるのでしょうか? ここからは「感染症の予防方」について書いてゆきます。

 

予防接種

完全室内飼い

定期的な消毒

猫にストレスの掛らない環境作り

 

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定期的な予防接種と抗体検査

 

先ず最初に上げた三つの病気ですが、これは三種混合ワクチンに含まれています。動物病院に行き定期的なワクチン摂取を行う事で予防できます。もちろんFELVやFIVにもワクチンが存在し予防できますが上に書いた様に、基本的には感染猫との直接的な接触がないと感染しません

 

飼い猫を屋外に出さない様にすれば、先ず感染する事はないでしょう。しかし保護猫を家に迎えたらその猫が既に感染していた・・・・というケースをよく耳にします。対策としては、最初にこの様な病気の抗体検査を行い陰性で有る事を確認する必要があります。特に「先住猫がいるご家庭の場合」はなおさら検査は必須といえます。

 

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もし、その様な状況でも飼うという決心をされたのであれば「直接的な接触を避ける様に工夫」し、先住猫にはワクチンを摂取させるなどの感染対策をしてください。また人間と同様「飼い猫にストレスを与えない環境を整えてあげる事」が最大の防御策にもなります。

 

 

 

新型コロナウイルスと猫の関係

 

 

現在、”コロナウイルスの情報”は日々更新されており、様々な情報が入り乱れています。初めに書いた様に香港やベルギーで報告された「飼い猫への新型コロナウイルスの感染」。さらには、米国のニューヨーク州では別々の家庭で飼われていた猫二匹の「新型コロナウイルス」の感染が報告され、その内の一匹は家庭内にはコロナ感染者は居なかった・・・・という内容でした。

 

 

また、5月には東京大学医科学研究所の河岡義裕教授の論文にて「新型コロナウイルスに感染した猫三匹と未感染の猫三匹を同じケージで飼育したところ全頭で感染が確認された」との報告がありました。この実験により猫から猫へのコロナ感染がほぼ立証された形になります

 

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ただし今回の猫六匹には「特に症状が現れなかった」・・・・・という結果もでており、猫の場合は感染していても重篤な症状を呈することは少ないという意見もあります。しかし、ニューヨーク州の場合は発咳を示した猫に対して検査を行った結果「コロナウイルスの陽性反応が出た」為に、人間同様に呼吸器症状がでる場合もありそうです。

 

また、感染拡大後の中国の武漢市内では、猫102匹中15匹から感染が確認され、15匹中11匹には既に「抗体が出来ている」という報告がされていました。しかし・・・これだけ猫への感染の報告がありながら、猫から人への感染は未確認です。これは世界共通で言える事なので、一先ず猫から人への感染はないと思って安心して良いようです

 

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以上の様な事から、猫に於いてもこのコロナウイルス対策としては「猫間さらには人間と猫の間でもソーシャルディスタンスが有効」と考えるべきでしょう。またコロナウイルスだけではなく、様々な感染症に対してしっかりと「隔離ワクチン消毒」を心掛ける事が、大切なペット強いては大切な家族の健康を守る事につながります。

  

この機会に皆さんも是非、飼い猫の為に出来る事や気を付ける事がないかどうか・・・・再考して頂ければ幸いです。

 

 

猫田先生
飼い猫の感染症に対する予防策ですが「予防接種完全室内飼い定期的な消毒ストレスのかからない環境作り」が挙げられます
タマちゃん
室内飼いの猫の方が長生きする・・・という話があるもんね。この辺りの事も関係しているのかニャ??
猫田先生
それと、今大騒ぎになっている新型コロナ。感染した猫で重症化するケースは少ないみたいだけど、決して気を緩めてはいけなんだよね。
タマちゃん
猫から人間への感染は確認されてニャいんだね?ただ、あくまで「現時点での話」だから、引き続き飼主さんも注意して欲しいニャ
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